前回のブログでは、3DCADソフトウェア「Fusion 360」で平面のデータを作成し、それを組み合わせて立体物を作成しました。
今回はFusion 360用プラグイン「Slicer」を使い、3Dモデリングデータをレーザー加工機用のデータにする方法をご紹介します。
Slicerをダウンロード・インストール
Slicerは開発がストップしてしまったため、Fusion360アプリストアからダウンロードできません。
Autodesk Knowledge Network 2020年8月14日の記事から、最終リリース版のダウンロードが可能です。
zipファイルを解凍したら、画面の指示に従ってインストールします。
「Slicer For Fusion 360」にチェックが入っていることを確認し、「インストール」をクリックします。
Fusion 360で3Dモデリングデータを作成
それでは、Fusion 360で3Dのデータを作成していきます。
今回はりんごを作ってみようと思います。
スケッチを作成
前回と同じように、「スケッチを作成」で平面の図形を作成します。
スプライン
りんごは正円ではないので、円を作成するのではなく曲線を引いていきます。
「作成」の中から「スプライン」にカーソルを近づけると、「フィット点スプライン」と「スプライン制御点」の2つが現れます。
どちらも点を打ちながら曲線を引くことができるのですが、「フィット点スプライン」は打った点を必ず通る曲線になり、「スプライン制御点」は最初と最後に打った点以外は通らない曲線になります。
今回は全ての点を通る、「フィット点スプライン」で線を引くことにします。
点を打ちながら、りんごの断面の片側をつくっていきます。
曲線の部分ができました。
線分
りんごの中心部分は直線を引いていきます。
「作成」の中、「線分」をクリック。
最後にりんごのへたを作ります。
上の方が太くなるように作ってみました。
トリム
不要な線は「トリム」で削除します。
削除したい線が選択され、赤くなったらクリック。
不要な線を全て消したら、右上の「スケッチを終了」をクリックし、平面の作業は終了です。
回転
スケッチで作成した平面データを立体にしていきます。
「回転」をクリック。
回転するデータは既に選択済みなので、回転する軸を選択します。
今回はりんごの中心部分になります。
保存・エクスポート
保存できたら、「Slicer」で読み込ませるデータを書き出します。
「エクスポート」を選択。
ファイル名をつけ、データタイプを「STLファイル(.stl)」にします。
※日本語のファイル名だとSlicerで読み込めないので、英数字にしてください
データにより書き出しに時間がかかります。
今回は5分ほどでした。
Fusion 360での作業はこれで完了です。
Slicerでレーザー加工機用データを作成
Slicerを開き、「Import」をクリック、先ほど書き出したデータを選択します。
素材のサイズを指定
「Manufacturing Settings」で、素材を設定します。
一覧にない場合は、ペンのマークをクリックして自分で新しいサイズを設定できます。
「+」マークをクリックし、「Units」をmmにしたら、「Length」と「Width」に素材の大きさ、「Thickness」に素材の厚さを入力します。
データのサイズを指定
「Object Size」では作成したデータのサイズを変更できます。
「Original Size」をチェックすると、元データのサイズになります。
今回は高さを100mmに変更しました。
加工タイプを選択
以下の6種類から加工タイプを選択します。
Stacked Slices
![Stacked Slices](https://www.smartdiys.com/blog/wp-content/uploads/2020/10/fusion-002-033.png)
Interlocked Slices
![Interlocked Slices](https://www.smartdiys.com/blog/wp-content/uploads/2020/10/fusion-002-034.png)
Curve
![Curve](https://www.smartdiys.com/blog/wp-content/uploads/2020/10/fusion-002-035.png)
Radial Slices
![Radial Slices](https://www.smartdiys.com/blog/wp-content/uploads/2020/10/fusion-002-036.png)
Folded Panels
![Folded Panels](https://www.smartdiys.com/blog/wp-content/uploads/2020/10/fusion-002-037.png)
3D Slices
![3D Slices](https://www.smartdiys.com/blog/wp-content/uploads/2020/10/fusion-002-038.png)
今回は「Radial Slices」にします。
かみ合わせ部分の調節
かみ合わせの数を変更できます。
「1st Axis」を17、「Radial」を20に変更しました。
データを書き出し
「Get Plans」からデータの書き出しができます。
「File Type」をDXFとmmに変更し、「Export to My Computer」をクリック。
データを調整
そのままSmartDIYs Creatorで読み込むと、書き出した線が全て黒に設定されます。
刻印部分と切断部分でパラメーターを変更したい場合等は、一度他のソフトウェアで調整が必要です。
イラストレーターやLibreCAD等のDXF形式に対応しているソフトウェアでデータを開きます。今回はイラストレーターを使用しました。
部品の色や場所を調整し、再度保存。
SmartDIYs Creatorで読み込み成功です。色分けもされています。
レーザー加工機で切断
FABOOL Laser CO2で2.5mm厚のMDFを切断します。
組み立てて完成です!
おわりに
Fusion 360で3Dデータさえ作ってしまえば、Slicerで簡単にレーザー加工用のデータへ変換することができます。
ぜひ参考にしてみてください!