A3サイズのシナ合板・MDFをレーザー切断(ドールハウス用パーツ)【Etcher Laser Pro】

公開日:2026年8月6日
最終更新日:2026年8月6日

ドールハウスやミニチュア作品のパーツは、細い部材や小さな部品が数多く含まれます。素材が薄いぶん加工そのものは難しくなさそうに見えますが、実際には「A3サイズの板を、加工エリアいっぱいまで使って切れるのか」「加工後に板が反ってしまわないか」といった不安がつきまといます。

今回は、ドールハウス・ミニチュア作品を制作・販売されている作家の方から、1.6mmのシナ合板と1.5mmのMDFのお試し加工をご依頼いただきました。加工パラメータや加工時間、実際の切断面の様子まで、報告書の内容にそってご紹介します。

加工事例の概要

ご相談をいただいたのは、ドールハウスやミニチュア作品を制作・販売されている作家の方です。作品は、薄い板からパズルのようにパーツを切り出し、組み上げていく構造になっています。

現在は時間貸しのレーザー加工ラボにデータを持ち込んで加工されており、自社への加工機導入を検討されている段階でのご相談でした。

そこで、実際にお使いになっている素材そのもの(A3サイズのシナ合板とMDF)と、実制作で使用しているデータをお送りいただき、お試し加工を実施しました。

加工前のA3サイズのシナ合板とMDF
写真1:加工前のシナ合板(左)とMDF(右)。いずれもA3サイズで、厚さはシナ合板が1.6mm、MDFが1.5mm

加工前に確認したかったポイント

ご相談の段階で、お客様から2つの確認ポイントをいただいていました。どちらも、薄い板材をレーザーで加工する方にとって共通する論点だと思われるため、事例を借りて共有します。

A3素材の長辺いっぱいに291.5mmのカットができるか

1つめは、縦297mmの素材に対して、291.5mmの直線カットが可能かどうかです。

A3サイズは297×420mm。そこに291.5mmのカットが入るということは、素材の縁までの余白が上下合わせて5.5mmしか残らない計算になります。素材のサイズと加工エリアのサイズだけを見て「入る」と判断してしまうと、実際には端まで加工できずにデータを作り直す、ということが起こり得ます。

加工機を選ぶ際に見落とされやすい部分ですが、「素材が入るか」ではなく「素材のどこまで加工できるか」で確認する必要があります。

加工後に素材がどの程度反るか

2つめは、加工後に素材がどの程度反るかです。

レーザー加工は熱を使って素材を切断するため、薄い木質系素材では、加工後に板が反ってしまうことがあります。ドールハウスのパーツのように複数の部材を組み合わせる作品では、わずかな反りが組み立て精度に影響します。

加工内容と加工パラメータ

使用機種

今回のお試し加工では、Etcher Laser Pro(30W)を使用しました。加工エリアは幅475×奥行310mmです。

A3サイズ(297×420mm)は、420mm側を幅方向、297mm側を奥行方向に配置することで加工エリア内に収まります。

加工機内のハニカムテーブルに設置したA3サイズのMDFを切断する様子
写真2:加工機内のハニカムテーブルにA3サイズのMDFを設置し、切断している様子

加工素材と加工データ

加工素材は、シナ合板1.6mm厚と、MDF1.5mm厚の2種類です。

加工データは、お客様が実制作で使用されているオリジナルデータ(SVG形式2ファイル)をお送りいただきました。データ内では線の色によって加工の種類を指定していただいており、赤をカット1、緑をカット2、黒を刻印(彫刻)として処理しています。

このように、1つのデータの中で切断と刻印を色で使い分ける方法は、複数の工程を1回の加工で済ませたい場合に有効です。

加工パラメータと加工時間

報告書に記載した加工条件は以下のとおりです。

加工の種類 速度 パワー 回数
切断 1000mm/min 100% 1回
刻印 3000mm/min 30% 1回

加工時間は、シナ合板が約7分50秒、MDFが約7分40秒でした。A3サイズの板からパーツ一式を切り出す作業が、どちらも8分弱で完了しています。

なお、上記のパラメータはあくまで参考値です。加工機や素材の状態、加工環境によっては同一の結果にならない場合があります。

加工結果と仕上がり

シナ合板(1.6mm)の仕上がり

シナ合板は、加工ムラなくすべて切断できていました。

レーザーで切り出したシナ合板パーツと刻印を施した枠板
写真3:切り出したシナ合板のパーツ。枠状の板には刻印による線が入っている
加工直後のシナ合板。切り出したパーツが板の中に並んでいる状態
写真4:加工直後のシナ合板。1枚の板から、窓枠や細い部材を含む多数のパーツが切り出されている

細い部材や小さな部品が同一の板に密集していますが、パーツ同士が離れずに残っており、切断線も安定しています。

MDF(1.5mm)の仕上がり

MDFも、お送りいただいたデータどおりにすべて切断できていました。

縁に細かな凹凸を切り出したMDFの長尺パーツ
写真5:切り出したMDFの長尺パーツ。縁に沿って細かな凹凸が連続して並んでいる

長尺のパーツの縁には、細かな凹凸が連続して切り出されています。1.5mmという薄さでこのピッチの凹凸を切り抜く場合、根元が焼け落ちたり途中で欠けたりすることが心配になりますが、写真のとおり、欠けのない状態で切り出せています。

なお、MDFのパーツは寸法が大きく写真に写りきらないため、細部の仕上がりについてはお客様のお手元でご確認いただく形としました。

素材の反りについて

ご相談時に確認ポイントとして挙がっていた反りについては、今回の加工では発生していませんでした

刻印の濃さについて

刻印は、速度3000mm/min・パワー30%・回数1回の条件で加工しています。

報告書では、より濃く仕上げたい場合は速度やパワーを調整することで対応できる旨をお伝えしました。刻印の濃さは好みが分かれる部分でもあるため、実際の運用では素材ごとに試し加工を行い、狙いの濃さになるパラメータを見つけていただくのが確実です。

パラメータの探し方については、レーザー加工機の最適なパラメータを見つける方法でも解説しています。

加工時に発生する煙への対策

今回のように木質系の素材を切断すると、加工中に煙が多く発生します。

煙が加工エリア内に滞留すると、素材表面にヤニが付着するなど、仕上がりに影響することがあります。木材やMDFを継続的に加工される場合は、集塵機または排気ファンキットを併せてお使いいただくことをおすすめします。

詳しくはCO2レーザー加工機 Etcher Laser Pro オプションについてをご覧ください。

まとめ

ドールハウス・ミニチュア作品用のパーツを想定し、1.6mmのシナ合板と1.5mmのMDFをEtcher Laser Pro(30W)で切断したお試し加工事例をご紹介しました。

  • 加工条件: 切断=速度1000mm/min/パワー100%/1回、刻印=速度3000mm/min/パワー30%/1回
  • 加工時間: シナ合板 約7分50秒、MDF 約7分40秒
  • 仕上がり: どちらの素材も加工ムラなくすべて切断。細かな凹凸形状も欠けずに切り出せ、加工後の反りも発生せず
  • 注意点: 加工時に煙が多く発生するため、集塵機または排気ファンキットの併用を推奨

より厚い板材の切断については、9mm合板をCO2レーザーで切断したお試し加工事例もあわせてご覧ください。