9mm合板をCO2レーザー加工機で切断|仕上がり検証【LC950】

公開日:2026年6月17日
最終更新日:2026年6月17日

木材をレーザーで加工したいと考えたとき、「どのくらいの厚さまで切れるのか」は気になるポイントです。特に9mm厚の合板となると、出力の小さなレーザーでは歯が立たないことも少なくありません。

本記事では、CO2レーザー加工機「LC950」を使い、9mm合板の切断をお試し加工で検証した事例をご紹介します。実際の加工データ・パラメータ・加工時間に加え、切断面の焦げや一部に生じた加工ムラまで、仕上がりの実際を写真とあわせてお伝えします。

加工事例の概要|「9mm合板が切れるか」を確かめたい

今回ご紹介するのは、福祉機器の開発・製造を手がけるメーカーのお客様からのご相談です。製品開発の工程にCO2レーザー加工機の導入を検討されており、その判断材料としてお試し加工をご利用いただきました。

お客様が最も確かめたかったのは、「9mm厚の合板を切断できるか」という点です。合板は薄いものであれば比較的扱いやすい素材ですが、厚みが増すほど切断の難易度は上がります。同じ課題を感じている方も多いのではないでしょうか。

加工前の9mm合板。3層の積層構造が見える
今回加工した9mm厚の合板。断面に積層構造が見える

加工前の検討事項|合板9mmという厚さの壁

これまでの加工方法と課題

お客様はこれまで、スライド丸鋸を使った切断や、10W出力の半導体レーザーによる加工を行ってきました。ただし半導体レーザーで対応できるのは4mm厚のMDF(木質繊維を固めて成形した板)までで、それ以上の厚みや9mm合板の切断には課題が残っていました。

合板は薄い単板を繊維方向が交わるように重ねて接着した素材です。厚みが増えるほど層が増え、レーザーで切断するために必要なエネルギーも大きくなります。9mmという厚さは、出力の小さなレーザーにとっては一つの壁になります。

お試し加工で確かめたかったこと

そこで今回は、CO2レーザー加工機LC950を用いて、9mm合板を切断できるかどうかを検証しました。

CO2レーザーは、木材やアクリルなどの非金属素材の加工に広く用いられる方式で、厚みのある素材の切断にも対応します。ただし、素材が厚くなるほど、出力や焦点の合わせ方といった条件の調整が結果を左右します。今回の事例も、その調整がポイントになりました。

加工内容と加工パラメータ

使用機種・素材・加工データ

今回の加工条件は以下のとおりです。

項目 内容
使用機種 LC950(CO2レーザー、出力80W、加工エリア 幅950×奥行650mm)
加工素材 合板 9mm厚(300×250mm)
加工データ お客様ご提供のオリジナルデータ(DXF形式)2種

加工データは、お客様からDXF形式(CADで作成する図面データの形式)でご提供いただいたオリジナルデータを2種類使用しました。1つは円形のパーツを切り出すデータ(①)、もう1つは凹凸を交互に組み合わせる「あられ組」の接合部を持つパーツを切り出すデータ(②)です。あられ組は、箱物などの角を接合する際に用いられる木工の組み手の一つです。

LC950の加工ベッドに9mm合板を設置した様子
加工前、加工ベッドに合板をセットした様子

加工パラメータと加工時間

実際に設定した加工パラメータは以下のとおりです。

項目 設定
速度 5,000mm/min
パワー 100%
加工回数 1回
焦点 通常より下げて加工

9mm合板の切断にあたっては、焦点を通常より下げた状態で加工しました。焦点を下げることで、表面だけでなく素材の厚み方向にレーザーのエネルギーを届かせる狙いがあります。

加工時間は、円形のパーツ(①)が約39秒、あられ組のパーツ(②)が約4分49秒でした。あられ組は切断する輪郭の距離が長く、複数のパーツを一度に切り出すため、円形のパーツよりも時間がかかっています。

【動画】9mm合板(円形パーツ)のレーザー切断の様子
【動画】9mm合板(あられ組みのパーツ)のレーザー切断の様子(実際の8倍速)

なお、素材や狙う仕上がりに応じた最適なパラメータの見つけ方は、レーザー加工機の最適なパラメータを見つける方法で解説しています。

加工結果と仕上がり

切断の可否と切断面の状態(焦げ)

焦点を下げて加工した結果、9mm合板を切断することができました。円形のパーツ、あられ組のパーツともに、データどおりの形状に切り出せています。

切断された円形の合板パーツ。切断面に焦げが見える
切り出された円形のパーツ。切断面には焦げが見られる

一方で、切断面には焦げが目立ちます。CO2レーザーは熱で素材を溶かし、蒸発させて加工するため、木材では切断面が焦げやすい傾向があります。焦げの程度が気になる場合は、用途に応じて切断後の仕上げを検討するとよいでしょう。

あられ組に切り出された9mm合板パーツ5点
あられ組のデータから切り出した5つのパーツ

一部に発生した加工ムラとその要因

ただし、あられ組のデータ(②)では、1ヶ所のみ加工ムラが発生し、切断しきれない部分が残りました。

加工ムラにより切断しきれなかった箇所の拡大
1ヶ所のみ切断しきれず、ムラが生じた箇所

要因としては、その部分の素材が部分的に硬かったか、合板の反りの影響でムラが生じた可能性が考えられます。合板は天然の木材を重ねた素材のため、同じ板の中でも硬さや平面度にばらつきが出ることがあります。こうした素材側の状態は、レーザーの設定だけでは完全には制御しきれない要素です。

裏を返せば、9mmという厚さの合板であっても、素材の状態が整っていれば切断できることが今回の結果から確認できました。

お客様の声

加工後のサンプルをお受け取りいただいたお客様からは、次のようなご感想をいただきました。

9mm合板も切断されており、ぜひ購入に向けて進めていきたいと考えております。

厚みのある合板の切断という当初の懸念が解消され、導入の検討を前向きに進めていただけることになりました。

まとめ

今回のお試し加工では、CO2レーザー加工機LC950を使い、9mm厚の合板を切断できることを確認できました。要点を整理します。

  • 9mm合板は、焦点を下げて加工することで切断できた
  • 切断面には焦げが出るため、用途に応じて切断後の仕上げを検討するとよい
  • 合板の硬さや反りなど素材側の状態によっては、一部に加工ムラが生じることがある

合板は同じ厚みでも、メーカーや個体によって硬さや反りに差があります。実際の素材で狙いどおりの仕上がりになるかは、お試し加工で確認するのが確実です。