レーザークラス(JIS / IEC)の分類とは|クラス1〜4の危険度と安全対策をわかりやすく解説

公開日:2026年7月13日
最終更新日:2026年7月13日

レーザー加工機を導入するとき、多くの担当者が最初に確認したくなるのが「この機械はどのクラスで、どんな安全対策が必要なのか」という点です。レーザーは、その危険度に応じて「クラス」という等級が定められており、クラスによって法令上・実務上に求められる対策が大きく変わります。

本記事では、レーザークラスがどのように決まるのか、クラス1から4までの危険度と特徴、そしてクラスごとに必要になる安全対策までを、レーザー加工機を扱う現場の視点で整理します。

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レーザークラスとは──なぜ危険度で等級分けするのか

レーザー光は、放出されるエネルギーが小さくてもエネルギー密度が高く、目や皮膚に障害を与えることがあります。特に目は、レンズがレーザー光を網膜上の一点に集めてしまうため、弱い光でも損傷につながる恐れがあります。こうしたリスクを管理するために設けられているのが、レーザーを危険度でランク分けする「クラス」の仕組みです。

クラスの根拠となっている規格が、国際規格の IEC 60825-1 と、それに準拠して定められた国内規格の JIS C 6802(レーザ製品の安全基準) です。

JIS C 6802 は IEC 60825-1 と内容を整合させており、現行の分類は2014年版の規格が基礎になっています。日本国内でこの規格の要件を満たしていれば、対応する国際規格の要件もおおむね満たすことになります。

クラス分けの目的は、大きく次の3つです。

  • 危険度を共通の「ものさし」で示し、誰が見ても危険レベルを把握できるようにする
  • メーカーに対し、クラスに応じた表示(ラベル)や情報提供を義務づける
  • 使用者が、クラスに応じた適切な安全対策を選べるようにする

このクラスは、感覚的に決めているわけではありません。判定の基準になるのが 被ばく放出限界(AEL:Accessible Emission Limit) で、これは「人が触れられる範囲で放出されてよいレーザーの限界値」を意味します。放出量がこの限界値をどこまで超えるかによって、クラスが段階的に上がっていきます。あわせて、人体側が浴びてよい限界を示す 最大許容露光量(MPE:Maximum Permissible Exposure) という指標も定められており、AEL はこの MPE を土台に決められています。

レーザークラスを決める要素──出力(パワー)と波長

クラスは主に「出力(パワー)」と「波長」で決まり、これに照射時間やビームの形状といった条件が加わります。ここを押さえておくと、後述するクラスごとの違いが理解しやすくなります。

レーザークラスが出力と波長から決まる仕組みを示した概念図
図1:出力・波長・照射時間などの条件から被ばく放出限界(AEL)が算出され、クラスが決まる流れ

出力(パワー)と被ばく放出限界(AEL)

もっとも直感的な要素が出力です。出力が大きいほど、単位時間あたりに目や皮膚へ届くエネルギーが増え、危険度が上がります。放出量が AEL を超える度合いに応じてクラスが上がっていくため、「高出力=上位クラス」という関係が基本になります。産業用のレーザー加工機のように数百ワット〜数キロワット級の出力を持つ機械が、最上位のクラスに分類されるのはこのためです。

波長と目・皮膚への影響

同じ出力でも、波長によって人体への作用が変わります。特に 可視光から近赤外(おおよそ400〜1,400nm) の領域は、光が眼球内を透過して網膜まで届き、レンズで集光されるため、網膜損傷のリスクが高い波長帯です。一方、遠赤外(たとえばCO2レーザーの10,600nm付近)や紫外に近い領域は網膜まで届きにくく、主に角膜や皮膚の表面に作用します。

特に注意が必要なのが、目に見えない不可視のレーザーです。可視光であればまぶしさを感じてとっさに目をそらせますが、不可視光ではその反応が働かず、被ばくに気づきにくいという危険があります。産業用の切断・溶接・クリーニングに広く使われるファイバーレーザーは不可視の赤外光であり、この点でも慎重な取り扱いが求められます。

このように、危険度は「どれだけ強いか(出力)」と「どんな光か(波長)」の掛け合わせで決まります。

なお、クラス判定に用いる具体的な数値(AELなど)は波長や照射条件ごとに細かく定められているため、実際の値は規格本体および機種ごとのマニュアルを確認してください。本記事で示す数値は、あくまで各クラスの位置づけを理解するための一般的な目安です。

レーザークラスの分類一覧(クラス1〜4)

JIS C 6802 では、危険度の低い順に クラス1・1M・2・2M・3R・3B・4 の7つに分類されます。このほか、皮膚などに接触させて使う機器向けの「クラス1C」がありますが、これは美容・医療系の接触型機器を対象としたもので、産業用のレーザー加工機を理解するうえでは上記の7区分を押さえれば十分です。

まずは全体像を一覧で確認します。

クラス 危険度の概要 代表的な例
クラス1 通常の使用では安全。低出力、または完全に密閉されている 密閉型のレーザーマーカー、レーザープリンター、光通信機器
クラス1M 裸眼では安全。ルーペや望遠鏡などの光学機器を使うと危険 一部の測定器・光通信用途
クラス2 可視光。まばたきなどの反応で目を守れる範囲 レーザーポインター、一部のバーコードリーダー
クラス2M クラス2に準じるが、光学機器を使うと危険 一部の可視光アライメント機器
クラス3R 直視にはリスクがあるが、比較的小さい やや高出力のレーザーポインター、アライメント用レーザー
クラス3B 直視・鏡面反射が危険。拡散反射は通常は安全 研究用レーザー、一部の医療用レーザー
クラス4 直視・皮膚・拡散反射のいずれも危険。火災の恐れもある レーザー切断機、レーザー溶接機、レーザークリーナー
クラス1から4までの危険度と特徴を比較した一覧図
図2:各クラスの「裸眼直視・光学機器・拡散反射・皮膚/火災」のリスク有無を整理した比較図

クラス1・クラス1M(原則安全/光学機器使用時は注意)

クラス1 は、通常の使用条件では人体に有害なレベルの光が外部に出ないレーザー製品です。安全である理由は2通りあり、出力そのものが非常に低い場合と、機械全体が密閉されていてレーザー光に触れられない場合があります。産業用途では後者が重要で、内部に高出力のレーザーを持っていても、外部にはレーザーが漏れない構造であれば製品としてはクラス1になります。

クラス1M は、裸眼で見る限りは安全ですが、ルーペ・望遠鏡・顕微鏡といった光学機器を通して見ると危険になり得るレーザーです。「M」は光学機器(Magnifying optics)を使ったときに条件が変わることを表しています。

クラス2・クラス2M(可視光・まばたき反射で保護される)

クラス2 は、可視光(おおよそ400〜700nm)の低出力レーザーで、連続発振で1mW以下が一つの目安です。人はまぶしい光を見ると反射的に目を閉じたり視線をそらしたりします。この反応は まばたき反射(嫌悪反応) と呼ばれ、目安として0.25秒程度で働くとされます。クラス2は、この自然な反応によって長時間の直視が避けられることを前提に、安全性が確保されています。裏を返せば、意図的に見続けた場合の安全は保証されません。

クラス2M は、クラス2と同様にまばたき反射で守られますが、光学機器を通した観察では危険になり得るレーザーです。

クラス3R(比較的リスクが小さい)

クラス3R は、直接ビームを見た場合にリスクがあるものの、その程度が比較的小さいレーザーです。放出量の上限は、可視光であればクラス2の、不可視光であればクラス1の、それぞれ被ばく放出限界の5倍程度までとされています(可視光では出力5mW程度までが一つの目安)。本質的に安全とまではいえませんが、まばたき反射や、規格に組み込まれた安全余裕によってリスクが抑えられているクラスです。クラス3B より製造者・使用者への要求が緩和されている一方で、意図的な直視は避けるべきレーザーです。

クラス3B(直視・鏡面反射が危険)

クラス3B は、ビームを直接目に受けた場合、偶発的な短時間の露光でも危険になり得るレーザーです。鏡のようになめらかな面ではね返る 鏡面反射 も同様に危険です。一方で、ざらついた面で乱反射する 拡散反射 は通常は安全とされます。放出量の上限は0.5W(500mW)程度が目安で、ビームが細く集光されている場合には、軽度の皮膚障害や可燃物の発火を引き起こす可能性もあります。なお、クラス名の「B」は、旧規格に存在した「クラス3A」(現在のクラス1M・2Mに近い区分)との歴史的な経緯に由来しています。

クラス4(拡散反射・皮膚・火災まで危険)

クラス4 は、もっとも危険度の高いクラスです。連続発振で0.5Wを超える高出力レーザーが該当し、直接ビームや鏡面反射光だけでなく、拡散反射光でさえ目や皮膚に障害を及ぼしうる唯一のクラス である点が最大の特徴です。加えて、可燃物への照射で火災が発生する危険もあります。

金属を切る、溶接する、表面の錆や塗膜を除去する──といった産業用の加工は、いずれも高いエネルギーを必要とするため、これらに使われるレーザー加工機は基本的にクラス4に分類されます。次のセクションで詳しく見ていきます。

クラス別に求められる安全対策

クラスは「危険度の指標」であると同時に、「必要な対策の指標」でもあります。日本では、クラスに応じた安全対策が実務上求められており、その枠組みは3つの層で成り立っています。

まず土台にあるのが 労働安全衛生法 です。同法にはレーザーを名指しした条文はありませんが、有害光線などによる健康障害を防ぐ一般的な義務(第22条)と、雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育の義務(第59条)が根拠になります。

この一般義務を具体化しているのが、厚生労働省の行政通達 基発第0325002号(レーザー光線による障害防止対策要項)です。ここでレーザー機器のクラス分けに応じた措置基準が一覧で定められており、実務上のルールの中心になっています。そしてクラス分けそのものの基準が、前述の JIS C 6802 です。

クラスに応じて求められる主な措置には、次のようなものがあります。

  • 管理区域の設定: レーザー光が漏れる可能性のある範囲を区画し、標識などで明示して立入りを管理する
  • 保護具の着用: レーザーの波長に対応した保護メガネなど、適切な保護具を使用する
  • 警告表示: 機械本体や作業エリアに、規格に沿った警告ラベル・標識を掲示する
  • インターロック: 扉やパネルを開けたときにレーザー放射を自動停止させる安全機構を設ける
  • 管理者の選任と教育: レーザーに関する知識を持つ管理者を選び、作業者へ安全衛生教育を実施する

保護具のなかでも特に注意したいのが保護メガネです。保護メガネは、レーザーの波長ごとに適合するものが異なります。たとえばファイバーレーザー(波長1,064nm付近)とCO2レーザー(波長10,600nm付近)では、必要な保護メガネが変わります。アーク溶接用の保護メガネや溶接面は、溶接時に発生する光をさえぎる目的のものであり、レーザー光に対しては十分ではありません。使用するレーザーの波長に対応した専用の保護メガネを選ぶことが不可欠です。

これらの措置は、危険度が高いクラス4・クラス3B で特に重要になります。特にクラス4のレーザー加工機では、管理区域の構築が対策の中心となります。管理区域の考え方や、法規制の根拠・具体的な構築方法については、レーザー溶接機の管理区域とは?(法規制の根拠から構築方法・運用体制まで)で詳しく解説しています。

波長対応の保護メガネとパーテーションで遮光した作業環境
画像:波長対応の保護メガネ(溶接面)とパーテーションで遮光した作業環境

産業用レーザー加工機は実際どのクラスに該当するのか

ここまでを踏まえると、レーザー切断機・レーザー溶接機・レーザークリーナーといった産業用の加工機は、その出力の高さからクラス4に該当する、ということになります。実際、これらの機械が生み出すレーザーそのもの(発振器の出力)は、まぎれもなくクラス4のレベルです。

しかし、ここで重要な考え方があります。それは 「発振器のクラス」と「製品としてのクラス」は別物 だということです。

たとえば、機械全体を エンクロージャー(レーザー光が外部に漏れない保護筐体) で完全に覆ってしまえば、外部にはレーザー光が一切出てきません。この場合、内部の発振器はクラス4であっても、製品として扱われるクラスはクラス1 になります。密閉型のレーザーマーカーや、発振器・ロボット・ワークを一体で密閉したロボット溶接セルなどがこれに当たります。作業者は筐体の外側からワークの出し入れを行い、加工中はレーザー光にさらされません。

クラス4の発振器を密閉することで製品としてクラス1になる仕組みの概念図
図3:クラス4の発振器を密閉(エンクロージャー)で覆うと、レーザーが外に漏れず、製品としてはクラス1になる仕組みの概念図

この「密閉によるクラス1化」には、大きな実務的メリットがあります。製品としてクラス1になれば、その筐体の外側では管理区域の設定やレーザー機器管理者の選任が不要になり、安全管理の負担を大きく減らせます。

ただし注意したいのは、密閉によってクラス1になるのは筐体が閉じている通常運転時に限られるという点です。メンテナンスや光軸の調整などで筐体を開ける場合には、内部のクラス4のレーザーに触れ得る状態になります。こうした場面に備えて、扉を開けるとレーザーを自動停止させるインターロックや、作業者の保護具の着用が重要になります。

したがって、自社の機械のクラスを考えるときは、次の視点が役立ちます。

  • 完全に密閉されている機械(製品としてクラス1) ── 外側では特別な管理区域を要しないことが多い
  • ビームが開放される使い方をする機械(クラス4) ── 管理区域の設定をはじめとする厳格な対策が必要

なお、レーザー加工機にはどのような種類があり、それぞれがどんな用途・原理で使われるのかは、レーザー加工機の種類を総まとめ(加工原理・光源・名称の違い)で体系的に整理しています。あわせて確認すると、自社が扱う機械の位置づけがより明確になります。

まとめ

レーザークラスは、IEC 60825-1 とその国内規格 JIS C 6802 に基づく「危険度の等級」であり、被ばく放出限界(AEL)を基準に、危険度の低い順にクラス1・1M・2・2M・3R・3B・4の7区分に分けられます。クラスが上がるほど、直視・反射・皮膚・火災へのリスクが増し、必要な安全対策も厳しくなります。

日本では、労働安全衛生法を土台に、基発第0325002号がクラス別の措置基準を定めており、クラス4のレーザー加工機では管理区域の構築が対策の中心になります。一方で、機械を密閉して製品としてクラス1にできれば、管理の負担を大きく抑えられます。

レーザー加工機を安全に運用する第一歩は、「自社の機械がどのクラスに該当し、どのように使うのか」を正しく把握することです。そのうえで、クラスに応じた保護具・遮光設備・表示・教育といった対策を整えていくことが、事故のない現場づくりにつながります。

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