【電気代は実測】FLC1500のランニングコスト全公開 | 電気代・ガス代・消耗品費を実数で試算

公開日:2026年7月14日
最終更新日:2026年7月14日

ファイバーレーザー切断機の導入を検討していると、最後まで悩みが残るのが「実際の月額ランニングコストがいくらになるのか」という点ではないでしょうか。カタログスペックだけでは電気代やガス代の目安が見えづらく、稟議書に具体的な数字を書けずに検討が止まってしまう、というケースも少なくありません。

本記事では、smartDIYsが自社のファイバーレーザー切断機「FLC1500」を実際にクランプメーターで計測し、電気代・アシストガス代・消耗品費までを実数ベースで公開します。稼働パターン別の月額シミュレーションも用意したので、自社の稼働イメージに近いプランをそのまま導入検討の材料にしていただけます。

ランニングコストの内訳

FLC1500のランニングコストは、大きく分けて次の4項目で構成されます。

  • 電気代:本体(レーザー発振器)・チラー・排気ファンなど装置全体の消費電力
  • アシストガス代:切断時に使用する酸素・窒素の消費量に応じたコスト
  • 消耗品費:ノズル・保護レンズなど定期交換部品
  • 純水・不凍液:チラー冷却水の定期交換コスト

このうち電気代・消耗品費・純水・不凍液の3項目は、稼働時間が決まればほぼ固定的にかかる費用です。一方でアシストガス代だけは、実際に「何を」「どれだけ」切断するかによって金額が大きく変わります。そこで本記事では、まず固定費的な3項目を「基本コスト」としてまとめ、アシストガス代は素材・板厚別の単価情報として別途提示する構成にしました。

まずは実測データの中心となる電気代から見ていきます。

電気代(実測値)

測定方法

smartDIYs社内のFLC1500実機を対象に、HIOKI製クランプメーター(3218-10F)を使用して各稼働状態の電流値を実測しました(気温23.7℃、電圧は200V換算で試算)。加工中の電流値は、レーザーを定格出力100%(1,500W)で照射した際の実測値です。

No. 状態 電流値 電圧
1 電源ON・加工無し(待機時) 0.94A 200V
2 チラー単体稼働 0.9A 200V
3 加工中(SS 3.2mm切断) 21.3A 200V
4 排気ファン 3.63A 200V

待機時は項目1・2を合算、加工時は項目3(加工中)と項目4(排気ファン)を合算して算出しています。

電気代の計算式

電気単価26.48円/kWh(既存製品ページ記載の単価に準拠)を用いて、次の式で算出しています。

月間電気代 =(加工時消費電力 × 加工時間 + 待機時消費電力 × 待機時間)× 26.48円/kWh

稼働時間別・月額電気代シミュレーション

FLC1500は加工エリアが幅730mm×奥行930mmとコンパクトな機械です。「稼働時間」は毎日フル稼働というよりも、稼働頻度(週に何日動かすか)と1回あたりの稼働時間から考える方が実態に近いと判断しました。あわせて、電源ON時間のうち実際にレーザーが加工している割合(加工率)も、稼働頻度が低いプランほど低めに設定しています。

プラン 稼働頻度 1回あたり時間 電源ON時間/月 加工率 加工時間/待機時間 月間消費電力量 月間電気代(概算)
ライトユース 週2日 2時間 16時間 30% 加工4.8h/待機11.2h 28.05 kWh 約743円
スタンダード 週3日 4時間 48時間 40% 加工19.2h/待機28.8h 106.33 kWh 約2,816円
ヘビーユース 週5日 6時間 120時間 50% 加工60h/待機60h 321.24 kWh 約8,506円

コンパクトな小型機ならではの使われ方を踏まえると、月々の電気代は数百円〜1万円弱に収まる計算です。「レーザー加工機は電気代が高そう」というイメージを持たれがちですが、実測ベースで見ると電気代そのものの負担は決して大きくありません。次は、もう一つの大きな変動要因であるアシストガス代を見ていきます。

アシストガス代

FLC1500では、素材・板厚によって使用するアシストガスの種類(酸素/窒素)と流量が異なります。ガス単価は窒素8,000円/47Lボンベ、酸素5,000円/47Lボンベで試算しています。

以下の流量・費用目安は、smartDIYsが公開している「FLC1500のガス使用量一覧」(圧力・ノズルサイズ別の流量データ)をもとにした計算値です。実際の加工条件によって変動するため、電気代のような実測値ではない点にご留意ください。「費用目安」は、それぞれの流量でガスを1分間流した場合のコストです。後述の「素材別1mあたりコスト」では、この単価に加工時間(分換算)を掛け合わせて算出しています。

板厚が厚くなるほどガス消費量が増えるのは、ノズルの直径が大きくなることに加えて、溶融物を確実に吹き飛ばすためガス圧力も高く設定するためです。

板厚ごとのガス費用(鉄)

板厚(mm) ガス種類 ノズル 圧力 流量 費用目安(1分あたり)
1〜2 窒素 1.2S 0.5MPa 82.6 L/min 約94円
3〜10 酸素 1.5D 0.06MPa 27.1 L/min 約19円
11 酸素 2.0D 0.08MPa 64.2 L/min 約46円
12 酸素 2.0D 0.10MPa 80.2 L/min 約57円

板厚ごとのガス費用(ステンレス)

板厚(mm) ガス種類 ノズル 圧力 流量 費用目安(1分あたり)
1 窒素 1.5S 1.0MPa 258.2 L/min 約295円
2〜5 窒素 2.0S 1.0MPa 459.0 L/min 約525円

板厚ごとのガス費用(アルミニウム・真鍮)

素材 板厚(mm) ガス種類 ノズル 圧力 流量 費用目安(1分あたり)
アルミニウム 1 窒素 1.5S 1.0MPa 258.2 L/min 約295円
アルミニウム 2〜3 窒素 2.0S 1.0MPa 459.0 L/min 約525円
真鍮 1 窒素 1.5S 1.0MPa 258.2 L/min 約295円
真鍮 2 窒素 2.0S 1.0MPa 459.0 L/min 約525円

ガス代を抑える選択肢

ステンレス・アルミ・真鍮の切断では窒素の消費量が酸素よりも大幅に多く、ガス代の比重が大きくなりがちです。ボンベ調達に依存しない方法として、次の2つの選択肢もあります。

窒素ガス発生装置の導入

圧縮空気から窒素を生成する装置を導入すれば、ボンベの購入・交換・在庫管理から解放され、窒素消費量が多い現場ほどランニングコストを抑えられます。初期投資は必要ですが、窒素使用量が多い場合は中長期的な費用対効果が見込めます。

エアー(圧縮空気)での加工

薄板であれば、窒素・酸素の代わりに圧縮空気をアシストガスとして使う運用も可能です。ガス代そのものがほぼかからなくなる大きなメリットがありますが、空気中の酸素によって切断面が酸化し、窒素切断のような綺麗な非酸化面には仕上がらない点は理解しておく必要があります。切断面の見た目や後工程(塗装・メッキなど)を問わない用途であれば、コストメリットの大きい選択肢です。

消耗品費

レーザーヘッド(トーチ)内部には、汚れによって定期的な交換が必要な3種類のレンズが使用されています。特に一番外側に位置する保護レンズは、スパッタなどの影響を最も受けやすく、交換頻度が高い部品です。あわせて、レーザーヘッド先端のノズルも、加工を続けるうちに摩耗・損傷していく消耗品です。ノズルに損傷があると加工不良の原因になるため、こちらも定期的な交換が必要になります。

消耗品 単価 交換頻度 月額換算 年額換算
保護レンズ 1,650円 月2枚 3,300円 39,600円
ノズル 1,320円 月1個 1,320円 15,840円
集光レンズ 16,500円 半年に1回 2,750円 33,000円
コリメートレンズ 16,500円 半年に1回 2,750円 33,000円
小計 約10,120円 約121,440円

なお、保護レンズやノズルの消耗は加工頻度・切断距離・素材によって変わるため、上記の交換頻度と月額は標準的な稼働(本記事のスタンダードプラン相当)を想定した目安です。加工量が多い現場ではこれより早く消耗し、少ない現場では長持ちします。実際の消耗品費は稼働状況に応じて増減するものとお考えください。

このほか、加工ベッド下に敷く耐火ボード(一式51,700円)や、素材を支えるフラットバー(1枚3,960円・19枚使用)も消耗部品ですが、破損頻度が稼働状況によって大きく異なるため月額試算からは除外しています。なお、フラットバーはFLC1500自体で自作することが可能です。汎用鋼材から切り出せるため、消耗品でありながら実質的な追加コスト負担を抑えられる点は、内製化ならではのメリットと言えます。

純水・不凍液

チラーの冷却水には純水を使用し、凍結防止のためクーラント液(不凍液)を季節に応じた濃度で希釈して使用します。チラーの容量は22Lです。

項目 単価/仕様 交換頻度 年間費用
純水(20L) 2,500円/回 年6回(2ヶ月に1回) 15,000円
クーラント液(5L) 11,000円/本 年4本(冬季30%希釈・その他10%希釈) 44,000円
合計 59,000円

クーラント液は冬季(30%希釈)とそれ以外の季節(10%希釈)で必要な原液量が異なりますが、5Lボトル単位で購入し年間の総必要量をまかなう形で試算しています。

訪問修理費0円の意味

FLC1500は、標準1年保証に加えて有償の延長保証も用意されていますが、smartDIYsではスタッフが客先に赴く訪問型の修理・メンテナンスは行っていません。日常のメンテナンスやクリーニング、消耗品交換はユーザー自身に行っていただく運用です。

「訪問対応がない」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、これは裏を返せば訪問費・出張費という不確定要素がランニングコストに一切乗らないということでもあります。他社では「保守契約費+訪問1回あたり数万円の出張費」が発生するケースも珍しくありませんが、smartDIYsではその費用構造自体が存在しません。

その代わりに、開発から設計・製造・販売までを自社一貫体制で行っており、生産工場(中国)と整備工場(日本)の2拠点で品質管理を行い、保守部品も本社に在庫しているため、故障時も早急に代替品を用意できる体制を整えています。トラブル時は電話・メールでのリモートサポートと、パーツの迅速な発送で対応する仕組みです。

さらに、前章で触れたフラットバーの自社製作のように、消耗品自体を自分たちで用意できるという内製化のメリットも、この「訪問修理費0円」という強みと地続きです。ランニングコストの実測値だけでなく、「見えないコストが発生しない」という設計思想も、FLC1500を選ぶ理由のひとつになります。

総額シミュレーション

これまで見てきた電気代・消耗品費・純水・不凍液は、稼働時間が決まれば毎月ほぼ固定でかかる費用です。ここでは、この3項目を「基本コスト」としてプラン別に合算します。アシストガス代は加工内容によって変動幅が大きいため、あえて分けて考えます。

基本コスト(電気代+消耗品費+純水・不凍液)

プラン 電気代 消耗品費 純水・不凍液 基本コスト合計
ライトユース 743円 10,120円 4,917円 15,780円
スタンダード 2,816円 10,120円 4,917円 17,853円
ヘビーユース 8,506円 10,120円 4,917円 23,543円

どのプランでも、消耗品費・純水・不凍液がコストの大部分を占め、電気代の比重は相対的に小さいという結果になりました。「電気代は思ったよりかからないが、消耗品費は一定額かかる」というのが、FLC1500のランニングコスト構造の実態です。

なお、上記の消耗品費(10,120円)はスタンダードプラン相当を想定した目安として全プラン共通で計上しています。実際には、保護レンズやノズルの消耗は加工量に応じて変わるため、ライトユースではこれより少なく、ヘビーユースではこれより多くなる点にご留意ください。

アシストガス代の加算

ここに、実際に加工する素材・板厚・月間の切断距離に応じたアシストガス代が加わります。ガス代は素材や板厚によって大きく変わるため、次章の「素材別1mあたりコスト」表を参考に、ご自身の加工内容に近い条件で試算してみてください。

例えば、SS材3.2mm(酸素アシスト)を中心に加工するケースであれば、1mあたり約11.8円(電気代+ガス代)が目安になります。これに月間の想定切断距離を掛け合わせることで、基本コストに上乗せする金額を算出できます。

素材別の1mあたり加工コスト

板厚・素材別の「1mの切断にかかる電気代とガス代」をまとめました。電気代は実測データ、ガス代は前述の計算値をもとに算出しています。加工内容が決まっている場合は、この単価に想定切断距離を掛け合わせることで、基本コストに上乗せする金額を試算できます。

SS材

板厚(mm) 加工速度(mm/sec) 1m加工時間(秒) 電気代(円) ガス費用 電気+ガス合計
1.6 50 20 0.73 約31.5円(窒素) 約32.2円
3.2 30 33.3 1.22 約10.6円(酸素) 約11.8円
6 20 50 1.83 約16.0円(酸素) 約17.8円
12 10 100 3.67 約95.0円(酸素) 約98.7円

ステンレス(SUS)

板厚(mm) 加工速度(mm/sec) 1m加工時間(秒) 電気代(円) ガス費用 電気+ガス合計
1 200 5 0.18 約23.5円(窒素) 約23.7円
3 30 33.3 1.22 約291.1円(窒素) 約292.3円
5 15 66.6 2.44 約582.3円(窒素) 約584.7円

アルミ

板厚(mm) 加工速度(mm/sec) 1m加工時間(秒) 電気代(円) ガス費用 電気+ガス合計
1 200 5 0.18 約23.5円(窒素) 約23.7円
3 40 25 0.92 約209.1円(窒素) 約210.0円

板厚が薄いほど1mあたりのコストは低く抑えられますが、ステンレスは窒素の流量が多いためガス費用の比重が電気代より大きくなる点が特徴です。逆にSS材(鉄)は電気代が薄板で1円未満、厚板でも4円程度と非常に安く、ガス費用と合算しても板厚12mmまで100円以内(約98.7円)に収まります。ステンレス・アルミの窒素切断と比べると、コストメリットが際立ちます。

まとめ

FLC1500のランニングコストは、電気代だけを見れば月々数百円〜1万円弱と、実測ベースでは決して大きな負担ではありません。一方で、消耗品費や純水・不凍液は稼働量に関わらず一定額がかかり、アシストガス代は素材・板厚によって大きく変動します。特にステンレスやアルミの窒素切断は、鉄の酸素切断に比べてガス代の比重が大きくなる点は、導入前に押さえておきたいポイントです。

訪問修理費が発生しない設計や、フラットバーの自社製作が可能な点など、smartDIYsならではの「見えないコストの少なさ」もあわせてご検討の参考にしていただければと思います。

実際の稼働イメージやご検討中の加工内容についてご不明な点があれば、お気軽にご連絡ください。

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