「レーザー加工機」と一口に言っても、切断・溶接・マーキング・洗浄・積層造形など、その種類は30以上にのぼります。しかも同じ機械が業界や用途によって異なる名前で呼ばれるケースも多く、全体像がつかみにくいのが実情です。
本記事では、レーザー加工機を4つの加工原理で体系的に分類し、それぞれに属する機械の用途・特徴・名称を整理します。導入検討の第一歩として、まずは「どんな種類があるのか」の全体像をつかんでください。
この記事でわかること
レーザー加工機は「加工原理」で4つに大別できる
レーザー加工機を整理する最もわかりやすい軸は、「レーザーで何をするか」という加工原理です。大きく以下の4つに分類できます。
| 加工原理 | 何をする加工か | 代表的な機械 |
| 除去加工 | 材料を溶融・蒸発させて取り除く | レーザー切断機、レーザー彫刻機、レーザークリーナー、レーザードリル など |
| 接合加工 | レーザーの熱で材料を溶かし接合する | レーザー溶接機、レーザーはんだ付け機、レーザー溶着機 など |
| 改質加工 | 材料の表面特性を変化させる | レーザーマーカー(変色マーキング)、レーザー焼入れ機、レーザークラッディング装置 など |
| 積層造形 | 材料を溶融・焼結しながら層を重ねて造形する | 金属3Dプリンター(SLM/LPBF)、SLS、DED方式積層造形機 など |
この中で最も機種のバリエーションが多いのが除去加工で、レーザー加工機の大半がこのカテゴリに属します。

図:レーザー加工の4分類と、各分類に属する代表的な機械
以降のセクションでは、各分類に属する機械を一つずつ見ていきます。
除去加工のレーザー加工機
除去加工は、レーザーのエネルギーで材料を溶融・蒸発させて取り除く加工の総称です。レーザー加工機の中で最も機種のバリエーションが多く、製造業の現場で目にする機会も最も多いカテゴリです。
レーザーカッター/レーザー切断機
レーザー光で材料を溶融・蒸発させ、アシストガス(酸素や窒素など)で溶融物を吹き飛ばして切断する機械です。金属の板金加工から、アクリル・木材・布・革などの非金属素材まで幅広く対応します。
産業用途の金属加工では「レーザー切断機」、非金属素材やDIY・クラフト用途では「レーザーカッター」と呼ばれることが多く、指す機械の機能は同じでも呼称が異なる典型的なケースです(詳しくは後述の「名称が混乱しやすいケース」で解説します)。
板金加工の現場では、従来のタレットパンチプレスからレーザー切断機への置き換えが進んでおり、金型不要で複雑な形状を加工できる点が採用の大きな理由になっています。

レーザー切断機による金属板の切断。アシストガスで溶融金属を除去しながら切り進める
レーザーマーカー/レーザー彫刻機/レーザー刻印機
この3つはレーザー加工機の中で最も名称の混同が多いグループです。技術的な違いは、主に加工の深さにあります。
| 名称 | 加工の深さ | 加工の特徴 | 主な用途 |
| レーザーマーカー | 数ミクロン〜数十ミクロン | 表面を変色・酸化させてマークを付ける。材料をほとんど削らない | 生産ラインでのQRコード・ロット番号の高速印字 |
| レーザー彫刻機 | 0.1mm以上 | 材料を蒸発させて凹状のマークを作る。触って凹凸がわかる深さ | ギフト・トロフィー・宝飾品のパーソナライゼーション |
| レーザー刻印機 | マーカーと彫刻機の中間的な呼称 | 用途に応じて浅いマーキングから深い彫刻まで対応 | 製造業のトレーサビリティ(打刻式刻印機からの置き換え) |
レーザーマーカーの多くは、ガルバノスキャナ方式(ミラーでレーザービームを高速に走査する方式)を採用しており、高速・大量処理が求められる用途に適しています。
重要な点として、これらは同一のハードウェアが出力・速度・周波数などのパラメータ設定を変えるだけで実行できる連続的な加工です。つまり、名称の違いは機械そのものの違いではなく、主な用途や加工の深さの違いを反映しています。
レーザークリーナー(レーザー洗浄機)
レーザー光のエネルギーで金属表面の錆・塗膜・酸化スケールなどの付着物を蒸発除去(アブレーション)する機械です。母材にダメージを与えずに表面の付着物だけを選択的に除去できる点が最大の特徴で、非接触かつドライプロセスのため、化学薬品やブラスト材が不要です。
比較的新しいカテゴリであるため名称がまだ統一されておらず、「レーザー洗浄機」「レーザーサビ取り機」「レーザーケレン装置」「レーザー塗装剥離機」など、用途に応じて多様な呼び方が存在します。「レーザークリーナー」が最も一般的な呼称として定着しつつあります。
金属加工、造船、インフラ保守、文化財修復など、従来はサンドブラストや化学洗浄で対応していた現場への導入が進んでいます。
レーザードリル・レーザースクライバーなどの専用機
除去加工にはこのほかにも、特定の業界・工程に特化した専用機が存在します。
レーザードリル(レーザー穴あけ機)は、ミクロンオーダーの精密な穴あけに使われる装置です。電子基板のビアホール加工やタービンブレードの冷却穴加工など、機械式ドリルでは対応できない微細加工の領域で活用されています。
レーザースクライバーは、半導体ウエハやガラス基板などの硬脆材料に溝を入れて割断するための装置です。半導体製造や太陽電池の加工工程で使われる専門性の高い機械です。
このほか、抵抗値を計測しながらチップ部品をカットするレーザートリミング機や、材料表面を昇華除去するレーザーアブレーション装置なども除去加工に分類されます。
接合加工のレーザー加工機
接合加工は、レーザーの熱エネルギーで材料を溶融し、部材同士を接合する加工です。
レーザー溶接機
レーザー光で母材そのものを溶融させて接合する装置です。フィラー(溶加材)が不要な場合が多く、TIG溶接やMIG溶接と比べて入熱が少ないため、熱歪みが小さく仕上がりが美しい点が特徴です。自動車、電子部品、精密機器、板金加工など幅広い分野で使われています。
近年はハンディレーザー溶接機(手持ち式)の普及が進んでおり、従来の据え置き型と比べて導入のハードルが下がっています。TIG溶接に比べて習熟が容易なため、溶接工不足に悩む現場での採用が増えています。

レーザー溶接による金属の接合。入熱が局所的なため熱歪みが少ない
レーザーはんだ付け機・レーザーろう付け機
レーザーはんだ付け機は、レーザーではんだ(フィラー材)を溶かして部品を接合する装置です。溶接との最大の違いは、母材自体は溶かさない点にあります。電子基板の実装工程や車載電子部品の接合に使われます。
レーザーろう付け機は、はんだより融点の高いろう材を使って接合する装置です。自動車のボディパネル接合などで使用されます。
また、金属ではなく樹脂部品をレーザーで加熱・溶融して接合するレーザー溶着機も接合加工の一種です。自動車の樹脂部品や医療機器の組み立てなどで使用されています。日本語では金属の「溶接」と樹脂の「溶着」を明確に区別する点も覚えておくとよいでしょう。
改質加工のレーザー加工機
改質加工は、材料を取り除いたり接合したりするのではなく、表面の特性を変化させる加工です。
レーザーマーカー(表面変色マーキング)
前述の「除去加工」のセクションでもレーザーマーカーを紹介しましたが、マーカーは改質加工としての側面も持っています。
除去加工としてのマーキングは、材料表面をわずかに蒸発させて凹みを作る方式です。一方、改質加工としてのマーキングは、材料表面を酸化・変色させるだけで、材料の除去はほぼ行いません。たとえばステンレスに黒色の酸化マークを付ける「黒色マーキング」は、表面が平滑なままマークが残るため、医療機器や食品機械など衛生面が重視される製品で好まれています。
このように、同じ「レーザーマーカー」でもパラメータ設定によって除去加工にも改質加工にもなる点は、レーザー加工機の名称を理解するうえで重要なポイントです。
レーザー焼入れ機・レーザークラッディング装置
レーザー焼入れ機は、レーザーで金属表面を局所的に加熱し、急冷することで表面を硬化させる装置です。自動車部品や金型、工具の耐摩耗性向上に使われます。炉を使った全体焼入れと異なり、必要な部分だけを処理できるため歪みが少ない点がメリットです。
レーザークラッディング装置(レーザー肉盛り機)は、金属粉末やワイヤーをレーザーで溶融し、母材表面に肉盛りする装置です。金型の補修やタービン部品の修理、耐摩耗コーティングの形成などに活用されています。
このほか、表面に微細なパターンを形成して摩擦特性や外観を制御するレーザーテクスチャリング装置や、レーザー衝撃波で圧縮残留応力を付与して疲労寿命を向上させるレーザーピーニング装置なども改質加工に含まれます。
積層造形(3Dプリンター)のレーザー加工機
積層造形は、レーザーを使って材料を一層ずつ溶融・焼結し、立体物を造形する加工です。いわゆる「金属3Dプリンター」はこのカテゴリに属します。
SLS(粉末焼結)方式
SLS(Selective Laser Sintering:選択的レーザー焼結)は、樹脂粉末の層にレーザーを照射して選択的に焼結し、これを積み重ねて立体物を造形する方式です。主に樹脂部品の試作や小ロット生産に使われ、航空宇宙・医療分野での採用が進んでいます。
SLM/LPBF(粉末床溶融)方式・DED(指向性エネルギー堆積)方式
SLM/LPBF(Selective Laser Melting / Laser Powder Bed Fusion)は、金属粉末をレーザーで完全に溶融させて造形する方式です。SLSが「焼結(粒子同士を結合)」であるのに対し、SLM/LPBFは「溶融(完全に溶かして一体化)」である点が異なります。航空宇宙部品や医療用インプラント、複雑形状の金型などの製造に使われています。
DED(Directed Energy Deposition:指向性エネルギー堆積)は、金属粉末やワイヤーをレーザーで溶融しながら積層する方式です。前述のレーザークラッディング(肉盛り)技術の発展形であり、大型部品の補修やハイブリッド加工(切削+積層を組み合わせた加工)に適しています。
レーザー光源による分類も押さえておく
ここまで「加工原理」を軸に分類してきましたが、レーザー加工機にはもう一つ重要な分類軸があります。それがレーザー光源の種類です。
光源が変わると波長が変わり、波長が変わると加工できる素材や適した用途が変わります。機種を選定する際は、「加工原理(何をしたいか)× 光源(何を加工するか)」の2軸で考えるのが基本です。主な光源を以下の表に整理します。
| 光源 | 波長 | 得意な素材 | 主な用途 | コスト傾向 |
| CO2レーザー | 10.6μm(赤外線) | 木材、アクリル、布、革、紙、ゴムなどの非金属 | 切断、彫刻、一部マーキング | 導入コスト低め、ランニングコストやや高(ガス必要) |
| ファイバーレーザー | 1.06μm付近(近赤外線) | 鉄、ステンレス、アルミ、銅などの金属全般 | 切断、溶接、マーキング、洗浄 | 導入コスト高め、ランニングコスト低(ガス不要) |
| YAGレーザー | 1.06μm(近赤外線) | 金属 | マーキング、溶接 | 現在はファイバーへの置き換えが進行中 |
| UVレーザー | 355nm付近(紫外線) | 樹脂、ガラス、半導体材料 | 微細マーキング、精密加工 | 熱影響が極めて小さい |
| 超短パルスレーザー | 各種(フェムト秒・ピコ秒) | 金属、セラミクス、ガラスなど幅広い | 超精密微細加工 | 熱影響をほぼゼロにできる |

図:代表的なレーザー光源の波長帯と、対応する主な加工用途の比較
製造業で特に使用頻度が高いのはCO2レーザーとファイバーレーザーの2つです。CO2レーザーは非金属素材の加工を中心に長年の実績がありますが、近年は金属加工を中心にファイバーレーザーへの移行が進んでいます。ファイバーレーザーはレーザーガスが不要でエネルギー効率が高く、銅やアルミなどCO2レーザーでは加工が難しかった高反射材にも対応できる点が、普及を後押ししています。
同じ機械なのに名前が違う? ── 名称が混乱しやすい3つのケース
レーザー加工機の種類を調べていると、「これは別の機械なのか、同じ機械の別名なのか?」と迷う場面があります。名称が混乱しやすい代表的なケースを3つ整理します。
「レーザーカッター」と「レーザー切断機」
この2つは指す機械の機能は同一です。ただし、使われる文脈が異なります。
「レーザーカッター」は、主に小型〜中型の機械で、アクリル・木材・布などの非金属素材を加工するDIY・クラフト・看板業界で好まれる呼称です。
一方、「レーザー切断機」は、大型の産業機械で鉄・ステンレス・アルミなどの金属板材を加工する板金加工・自動車・建築業界で使われる呼称です。
さらに、メーカーによっても呼び方が異なります。同種の機械を「レーザマシン」と呼ぶメーカーもあれば、「レーザ加工機」と呼ぶメーカーもあります。機械を選定する際は、名称ではなく加工したい素材・板厚・用途で機種を絞り込むのが確実です。
「レーザーマーカー」と「レーザー彫刻機」と「レーザー刻印機」
前述のとおり、この3つの違いは主に加工の深さです。マーカーは表面変色レベル(数ミクロン〜数十ミクロン)、彫刻機は触ってわかる深さ(0.1mm以上)、刻印機はその中間的な呼称です。
同一のハードウェアがパラメータ設定の変更だけでこれらすべてを実行できるため、ハードウェアとしての区分はあいまいです。
生産ラインでの高速印字を重視する文脈では「マーカー」、個人の用途では「彫刻機」、製造業のトレーサビリティ文脈では「刻印機」と呼ばれやすい傾向があります。
なお、日本語表記には「レーザー」(長音あり)と「レーザ」(長音なし)の揺れもあります。JIS規格に準拠する大手産業機械メーカーは後者、一般消費者向けの製品を扱うメーカーは前者を使う傾向がありますが、指す対象は同じです。

図:レーザー加工機の名称が混乱しやすいポイントを整理した相関図
「レーザークリーナー」の多数の別称
レーザークリーナーは比較的新しいカテゴリのため、業界内でも名称が統一されていません。同じ機械を指して、以下のような呼称が使われています。
レーザー洗浄機、レーザーサビ取り機、レーザーブラスト、レーザーケレン装置、レーザー塗装剥離機、レーザー脱脂機、レーザークリーニング装置 ── いずれもレーザーで付着物を除去する同一原理の機械です。
英語でも Laser Cleaner、Laser Rust Remover、Laser Descaler、Laser Decoater など多岐にわたります。情報収集の際は、これらの名称がすべて同じカテゴリの機械を指していることを意識しておくと、必要な情報にたどり着きやすくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
レーザー加工機は、除去・接合・改質・積層造形の4つの加工原理で大別できます。各原理の下に、切断機・マーカー・溶接機・クリーナー・3Dプリンターなど多様な機種が存在し、さらにCO2・ファイバー・YAG・UVなどのレーザー光源の違いが加わることで、30種類以上の名称が生まれています。
名称の違いは必ずしもハードウェアの違いを意味しません。同一の機械でも、業界慣習や用途の重点の違いによって呼び方が変わるケースが多くあります。
機種選定の際は、名称にとらわれず、「何を加工したいか(素材・形状)」「どんな加工をしたいか(切断・溶接・マーキングなど)」という目的を起点に検討を進めることが重要です。
本記事が、レーザー加工機の全体像を把握するための一助になれば幸いです。
smartDIYsのレーザー加工機
当社では、CO2レーザー加工機、レーザーマーカー、レーザー溶接機、金属切断機、レーザークリーナーなど、幅広いカテゴリのレーザー加工機を取り揃えています。
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